シェアリングエコノミー

シェアリングエコノミーとは、従来の消費社会とは違い資産を持たない社会の到来であり、その経済圏だと考えることができる。

テクノロジーアナリストのメアリー・ミーカーによれば、「資産を持たない世代」の出現によって変化にさらされているとのことだ。

wikipedia メアリー・ミーカー

そして、総務省の解釈ではこうだ。

「シェアリング・エコノミー」とは、典型的には個人が保有する遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸出しを仲介するサービスであり、貸主は遊休資産の活用による収入、借主は所有することなく利用ができるというメリットがある。
出典:総務省|平成27年版 情報通信白書|シェアリングエコノミーより

あらゆるものがデジタル技術の出現により、変化し新しいものへと成長している。例えば、FaxがEmailに、会計がクラウド会計に、会社勤めからリモートオフィスに、警備員がドローンやロボットに、商品の棚卸がロボットに、音楽CDがダウンロードに、DVDの購入やレンタルがダウンロードに、もしくはストリーミング(ダウンロードせずに再生する技術のこと)に、現金が仮想通貨(ビットコインなど大手バンクも開発しているし、すでにビットコインで支払いができるECサイトも存在する。)に、近年社会経済の大きな変化が起きている。まさに潮の目が変わったといっても言い過ぎではないだろう。

さらに、近年はブロックチェーン技術の出現により、銀行員の必要性も危ぶまれている。
いずれは、押印ではなく電子押印証明の方が信頼される時代になるのかもしれない。

そのような変化の中でシェアリングエコノミーを加速させるとして注目されているのが、民宿のシェアリングビジネスとして有名な「Airbnb」や空いている車の相乗りサービス「uber」である。

これらの企業はシェアリングビジネスとして、アメリカでいち早く市民権を得るに至っている。近年(2016年筆)日本にも進出してきた。

すでにアメリカやヨーロッパではAirbnbやuberのような類似のシェアリングビジネスが次々と生まれている。

このような流れの中で、どのような社会が生まれるのだろうか?

ここで話は初めに戻るが、メアリー・ミーカーが提唱した「資産を持たない世代」が大きな鍵を握っている。
では、この「資産を持たない世代」とは今の日本の若者を見れば一目瞭然に理解できると思だろう。

ほんの一昔前、よくTVで放送されていたが、年配の評論家は日本の将来を憂い、最近の若者は「覇気がない・やる気がない・欲がない」などとの発言を頻繁にしていたものだが、もうすでにこの時点で時代の風潮の変化は始まっていたのではないだろうか。

リーマンショック以前から日本では、不景気による就職難で贅沢は年々できなくなってきており、平均年収が下がり続けているのは周知の通りだ。日本以外の国ではもっと悪い状態が続いてきた。だからこそ、若者はデジタルで無料で得たもので存分に楽しむ方法を知っているのだと思う。そのような世代がこれからの経済を牽引していくのは間違いがないだろう。

これまでの大量生産・大量消費の無駄だらけの社会から、共有がメインの社会へと変化していくだろう。小さなグループがたくさん存在する社会になっていくのではないだろうか。なぜそう思うかというと、Facebookのようなソーシャルメディアの中にもグループが生まれており、また、地域限定のソーシャルメディアや特定の目的だけのソーシャルメディアもたくさん生まれている。さらに、地域でのクラウドファンディングも生まれている。そして、このような流れが加速し、様々な物を共有することが普通になっていくのではないだろうか。

突然だが、あなたは生命の基本原理をご存知だろうか、強い形質を持つアメーバーと弱い形質を持つアメーバを同じシャーレに入れるとどうなるか。ダーウィンの進化論をもとにするなら、強いアメーバが弱いアメーバを駆逐するはずである。しかし、実際にはそうならないのである。

何が起きるか?

強いアメーバが6割、弱いアメーバが4割になる。

そして、最終的に両者は合体して良い部分を継承するのである。このことは、実際にアメリカの微生物学者によって証明されている。(2016年度のサイエンスという雑誌に掲載されていた。)

このような例から、生命の基本は競争ではなく共生なのではないかと考えている。おそらくシェアリングエコノミーが、地域での連携や物や能力の共有が普通の社会になっていくと筆者は予想する。今はその序章に過ぎないのではないだろうか。